防衛上の重要拠点国・地域にも気を配る必要がある

また周辺でなくても防衛上の重要拠点国・地域にも同様である。トルコ、ギリシア、韓国、パキスタン、タイ、マレーシア、北欧三国、アイスランド、中央アメリカ諸国、地中海南岸諸国、南ア共和国周辺国などである。その理由は世界地図を一覧すれば充分に理解できる。

また、大西洋上の唯一の戦略島嶼アゾレスを領有するポルトガル、大陸に近接し戦略上の要衝たるマダガスカルスリランカ、台湾、フィリピン、ニュージーランドカリブ海諸国、ディエゴ・ガルシア、アンダマン・ニコバル諸島等である。さらに、最大の核戦力運搬力をもつ原潜オペレーション上の重要拠点となりうる南太平洋上の諸島嶼国、インド洋上の島々、重要海峡を制圧しうる各国(スペイン、ポルトガル、北欧三国、日本、アイスランド、アセアン諸国、イラン、オマン、アラブ首長国連邦、エジプト、パナマ、チリ、アルゼンチン、両イエメン、ジブティソマリア)などは国際金融上も、軍事戦略上も重複して重要である。

そして、ソ連圏と近接している国際金融三強国(西独、サウジアラビア、日本)に、米国または西側諸国は何を期待し、何を期待していないかはすでに明白ではないか。

また、国際金融市場としては、ソ連の周辺や外郭に所在し、政治動向が微妙な国々(北朝鮮、インド、ビルマベトナム、イラン、シリア、リビアアルジェリア等々)にどう対処しているかはきわめてデリケートな問題であるし、ソ連の総合力が低下すれば東欧圏諸国の動向も注目され、中国自体もすでに自給自足的発想から国際的依存度増大の方向に傾斜しつつある。中国もブラジルも翌世紀の国かもしれぬが、今世紀の国でないことは確実である。