業界団体の意見を尊重する必要性

NHK番組『クローズアップ現代』で、こんな放送を見たことがあります。品確法に基づいて迅速に紛争解決ができるように、判断の規準を作るうということになりました。

床の傾きの角度の基準については、「十分の六以上であれば欠陥、それ以下であれば欠陥ではない」ことにしたというのです。しかし番組に出演した専門家は、「傾きが十分の三もあれば、誰もそれは欠陥のない住宅だなどとは思わない」と述べていました。

床の傾きの基準については、もちろん、業界の他の多くの専門家が「十分の三なら欠陥ではない」という見解だからそうなっているわけで、「欠陥だ」という人は専門家の間では少数のようにも聞きました。でも、私はこの放送を聞いて「なるほど、変わってないな」と思いました。こういうことは非常に多いのです。

日本の法律は全般に、法律を作るうとする際に業界団体の意見は聞くが、一般の人の意見は全然聞かないというか、まとまって聞くようなことをしません。業界団体の意見はその業界の「総意」であるのに対して、消費者の意見は何人かの人から「参考程度」に聞くだけというのがふつうです。