糖尿病発症がショック

糖尿病発症がショックで心を入れかえた(男性・初診時四一歳)Bさんは真面目な中学校の先生です。学生時代は痩せていたのですが、教師になってからは、ストレスを食べることとアルコールで解消するようになりました。夕方になるとはとんど毎日つきあいで赤提灯に行き、一杯やりながらヤキトリ、おでん、天ぷらを食べ、そして夕食。そのうえ寝る前に和菓子かバウムクーヘン、というのか癖になってしまいました。

三〇歳頃から太ってきましたが、これといった運動らしきこともせず、同しような毎日を送っていました。一九八八年(四一歳)検診で高脂血症(総コレステロール三四二《以下同》、二二〇以上が高脂血症、)と診断され当科を受診しました。一時的にはコレステロール値の低下が認められましたが、九〇年(四三歳)より再度上昇したので栄養指導を行いました。一七〇センチ、七四キロ、二〇〇〇〜二五〇〇キロカロリーの摂取、油料理が多く、運動らしきことは全くやっていない、との記録があります。その後七回栄養指導を受けていますが、油料理と菓子類の間食か多く食事内容は全く変わりませんでした。

九四年一一月(四七歳)体重八二キロ、空腹時血糖が二二六以上が糖尿病)と上昇してきました。九五年二月体重八五キロ、空腹時血糖二三八、三月空腹時血糖三二一、油料理と菓子類と運動不足のためにとうとう糖尿病が発症してしまったのです。その後三週間入院、糖尿病に関する教育を行い、経口糖尿病薬による治療を開始しました。

退院時体重八一キロ、空腹時血糖が一二〇。以後外来治療を行っていましたが、同年七月減量と糖尿病コントロールのための入院希望があり、夏休みを利用して三週間入院しました。この二度目の入院の時に生活習慣を変える決心をし、食事はハ○○キロカロリー、一日三食バランス良く食べる、つきあいで行っていた赤提灯はやめる(もともとアルコールはそれほど好きではなかったようですが)、夜食は絶対にしない、一日一万歩以上必ず歩く、
という目標を忠実に実行しました。

効果はてきめんでした。九六年四月体重七七キロ空腹時血糖一三〇。六月体重七三キロ、空腹時血糖一三ニ夏休み期間はエネルギー量を三○○キロカロリーに減らし、運動量を増やしたので九月には体重六六キロ、空腹時血糖が一一四になっていました。九七年一一月体重六三キロ、空腹時血糖九三、糖化ヘモグロビン(基準値四・四〜五・八%)四・九%と低下していたので、経口糖尿病薬を半分に減量、九八年九月体重六三キロ、糖尿病のコントロール状態も良好だったので経口糖尿病薬を中止しました。以後も定期的に通院し、検査を続けていますが、九九年九月(五三歳)体重六三キロ、空腹時血糖八六、糖化ヘモグロビン四・八%、総コレステロール一八二でした。生活習慣の改善により糖尿病が治ったといっても過言ではない症例です。